大阪府金剛寺蔵保延四年書写本は、 下巻のみが現存し、 保延四 (1138) 年に書写された現存最古の書写本である。 当本については、 オコト点や返点の形態、 声点の形式などから、 比叡山延暦寺との関係が強いとされる。 その推測に従うならば、 平安期にすでに本書の書写が比叡山に存在していたことになる。 また、 当本には、 朱書による右訓・返点・合符などがある。
 体裁は半葉七行、 一行十七字内外である。