光延寺蔵延慶二年書写本は、 巻尾に 「延慶二年 ツチノトノトリ 正月廿日」 との書写奥書があり、 これが本文と同筆で記されているので、 現存中最古となる延慶二 (1309) 年の書写本であることがわかる。 本書は、 かつて時宗の京都御影堂養寿庵に伝来していたもので、 天明八 (1788) 年の京都大火によって上部と左部の一部を消失しており、 左右に後世の筆で補っている箇所がある。 また本文には誤写とみられる箇所が散見され、 数箇所左訓があることなどが特徴である。 旧表紙の中央に 「浄土文類聚鈔」 と墨書し、 左下には 「釈□□」 との袖書がみえる。 また旧表紙見返には 「三不三信誨慇懃/三不トハ義也 三信トハ専修也/□不心実 不ジユンアツシ不決定也」 とあり、 尾題の後に本文と同筆で ¬華厳経¼ 賢首品の偈文とその釈文、 及び焼法門誦文と十悪の記入がある。 これについては右左訓にいたるまでほぼ同文のものが ¬尊号真像銘文¼ (正嘉本) の末尾 (別筆) にあり、 両本に関係のあることが知られる。
 体裁は、 半葉五行、 一行十五字内外である。