金版 ¬大蔵経¼ は、 皇統九 (1149) 年、 解州の天寧寺で、 崔法珍が発心して制作が始められた。 高麗版初雕本と同じく開宝蔵を覆刻したもので、 体裁は上下の界線があるなどの相違以外は開宝蔵と同一である。 版木は大定二十一 (1181) 年、 都の燕京に運ばれて朝廷に進呈され、 皇帝世宗が沙門浄遵ら五人を選んで校正させた。 その後、 版木は大昊寺に置かれ、 さらに弘法寺に移されて印刷と補刻が行われ、 金・モンゴル・元の時代に次々と補刻された。 少数の経巻を除き刊記がないことが特徴であり、 六千九百八十巻であったという。 現在金版大蔵経には、 主に中国の広勝寺本 (約四千九百巻)・大宝集寺本 (約五百五十巻)・興国院本・天寧寺本がある。 金版大蔵経は、 日本にはまとまっては伝わらなかった版本である。 影印本として、 ¬影印宋蔵道珍¼ (影印宋版蔵経会) や ¬趙蔵金蔵¼ (北京図書館出版社) があり、 ¬中華大蔵経¼ (中華書局) においても、 該当する典籍が金版大蔵経にある場合、 底本として影印されている。