醍醐寺蔵本は、 包袋中央に 「法然上人伝法絵 下 一冊/顕智上人御筆」 とあるように、 本文、 振仮名、 左訓から表紙中央の 「法然上人伝法絵下」 との題箋に至るまで顕智上人の筆である。 また、 数は少ないが朱筆による左訓や行頭の記号、 区切り点、 顕発点なども見られる。 ただし、 内題下にある 「下巻」 の文字など、 わずかに別筆を含んでいる。 なお、 本文には、 異本との校合跡が散見される。 奥書は二つあり、 非常に小さな字で 「草本云 永仁四年十一月十六日云云」 と書かれた後に、 「永仁四年 丙申 十二月下旬 第六 書写之」 とある。 これによって、 当本は、 永仁四年の十一月十六日に 「草本」 が書写され、 その約一ヶ月後の十二月下旬に顕智上人がその本を書写したものであることがわかる。 なお、 内題下と本文末尾には 「高田専修寺」 の黒印がある。
体裁は半葉六行、 一行二十字内外である。