大谷大学蔵鎌倉時代書写本は、 書体から鎌倉中期をくだるものではないとされる。 本文は概ね行書体で書写されており、 一部にややかたい書体の異筆部分が認められる。 全体に訓点は施されていないが、 若干の送り仮名、 読み仮名が付されている。 本書はもと栂尾の高山寺に所蔵されていたが、 天保七 (1836) 年に十無尽院の慧友により校訂され、 越前浄勝寺の丹山順芸に譲渡されている。 さらに大谷瑩誠 (号禿庵) 氏の架蔵するところとなって、 現在は大谷大学の所蔵本となっている。 巻末には朱書で奥書を載せるが、 これは慧友が高山寺に蔵する承元二年本で校訂したもので、 またそれには 「念仏為本」 と草本にあると記されている。
 体裁は袋綴一帖、 半葉十一行乃至十六行、 一行二十二字内外である。