本書は、 善導大師の ¬礼讃¼ の 「中夜讃」 に、 「龍樹菩薩の願往生礼讃偈」 と称して依用されているとおり、 龍樹菩薩ご自身が阿弥陀仏の浄土に往生することを願って、 阿弥陀仏を礼拝讃嘆された偈頌である。
迦才の ¬浄土論¼ には、 「禅那崛多三蔵別訳の龍樹の讃のごとき、 阿弥陀仏を礼する文、 十二礼あり」 と述べられている。 偈頌 (原漢文) は七言一句、 四句一偈で、 全部で十二偈ある。 最後の一偈は回向で結ばれるので礼拝を示す文は出ていないが、 他に準じて 「十二礼」 と呼ばれる。
その内容は、 初めに阿弥陀仏の徳を讃嘆し、 ついで浄土の聖衆の徳を、 さらい国土の徳をそれぞれ讃嘆していかれる。 そして最後にこの法の徳を人々に伝えて、 ともに往生しようと願う回向句をもって結ばれている。