普寧寺版 (元版) ¬大蔵経¼ は、 ¬大方広仏華厳経普賢行願品¼ の末尾に付された跋文から、 至元十四 (1277) 年、 大明慶寺の寂堂思宗が企画し、 その要請をうけた白雲宗の道安らが開版の事業に当たったもので、 のち元朝の保護も受けて、 至元二十七 (1290) 年に完成したことが知られる。 杭州の普寧寺で刊行されたので、 杭州蔵とも普寧寺版とも呼ばれる。 普寧寺版は、 元軍の兵火によって焼失した思渓版の再刊として企図され、 思渓版を底本として他の諸版とも校合したという。 なお、 各巻の首尾に千文字とともに函号内の冊数の順序を示す数字が翻刻されているが、 これは思渓版に見られなかった特徴である。 「天」 より 「感」 までの五百五十八巻が普寧寺版の正蔵とされている。 日本においては、 増上寺・浅草寺・安国寺・西大寺・園城寺などにまとまって所蔵されている。
 その体裁は折本装、 一紙五折三十行、 一行十七字である。