底本は高田派専修寺に蔵せられ、 宗祖の八十歳には至らない時期のものとされる。 本経の具名は ¬観世音菩薩往生浄土本縁経¼ といい、 宗祖が他の著作でこの経典に言及されたものはないが、 真仏上人の ¬経釈文聞書¼ には引用されている。 内容は、 罪業の重い者や必堕地獄の者であっても、 阿弥陀如来の本願力によれば救済されるというものである。 また 「経言」 「又言」 とあるので二つの文が引用されているようにみえるが、 実際は経典の後半部にある一続きの偈文である。