法然院蔵本は、 刊記に 「延応第一之暦 沽洗第六之天 校根源正本 直展転錯謬即写印字用令流布矣」 とあり、 延応元 (1239) 年に根源正本により校訂して開版したと記している。 ¬選択集¼ の最初の刊本である建暦元年版が伝存しないので、 この延応元年版が現存最古の刊本である。 刊記にいう 「根源正本」 については、 古くより元久元年書写本といわれてきたが、 文字の異同からみて、 恐らくそうではあるまい。 建暦本とも考えられる。 墨書による訓点が付加されているが、 一筆ではなく、 鎌倉から江戸期におよび複数の人の手になるものと推定されている。
体裁は粘葉装二帖、 半葉六行、 一行十七字である。 上巻最後の一葉は後世の補写である。