寶壽院蔵天永三年書写本は、 筆者は明らかでないが、 下巻の奥書に 「天永三年四月五日書写了/同廿日一校点是偏為往生極楽也」 とあり、 天永三 (1112) 年の書写にかかる現存最古の書写本である。 それぞれの表紙左上に 「安楽集巻上」 「安楽集巻下」 と外題があり、 右下に 「深鏡房」 と袖書がある。 鎌倉時代以降の刊本や現行本と比較して、 本文に異同が多いことから別系統と考えられる。
 体裁は半葉七行、 一行十八字内外であり、 上巻は五十七丁、 下巻は四十四丁で、 訓点が施されている。