毫摂寺蔵本は、 天地の一巻二冊より成る。 第一冊は、 表紙左上に 「決智鈔 天」 との題箋があり、 「応永六年 卯月十四日/以秘本而書写之畢」 との奥書を有している。 また、 巻尾には 「右此一部 二帖 者大坂退城之砌取物由申間/取留之物也」 「毫(花押)」、 裏表紙見返には 「天保 黄鐘当御正忌改/装以遺後代 見住摂朗/紙数三十五葉」 と、 それぞれ別筆にて記されている。 第二冊は、 表紙左上に 「決智鈔 地」 との題箋があり、 「応永六年 卯月十四日/以秘本而書写之畢」 との奥書を有している。 また、 巻尾・裏表紙見返には第一冊と同じ内容の識語が記されているが、 紙数のみ 「三十貳葉」 と異なっている。 さらに、 奥書に重ねて 「此壹帖決智抄者大坂退城之砌取上/候本也尤暦数応永従廿六年今/到明和五年迄三百五拾年也 尤一門之秘蔵   関幽(印)」 と別筆で書かれた貼紙が確認できる。 二冊とも紙数が裏表見返に見える紙数記録と一致しており、 天保二 (1831) 年十一月に修了された形を伝えていると考えられる。
 体裁は半葉七、 一行十九字内外である。