毫摂寺蔵永享九年刊本は、 その刊記に 「願主比丘敬覚/南無阿弥陀仏 筆者沙門泰兼/此浄土論之形木為末代利益安置知恩院/永享九 丁巳 七月十八日」 とあることから、 永享九 (1437) 年に敬覚が願主となり、 泰兼が版下を書写したことが知られる。 また、 版木を知恩院に安置したとあるが、 知恩院には現存せず、 兵庫県毫摂寺に版本があるのみである。 体裁は粘葉装一帖、 半葉六行、 一行十七字で、 この時代の版本としては極めて優れたものと評される。 墨書による訓点が付加されている。