毫摂寺蔵本は、 本末二巻から成る。 本巻は表紙左上に 「歩船鈔」、 右下に 「比丘尼釈妙覚」 とあり、 末巻は表紙左上に 「歩船鈔」、 右下に 「比丘尼釈妙覚」 とある。 奥書はないが、 筆跡から乗専の書者によるものであることがわかる。 また、 袖書から、 妙覚なる人物の所持本であったことが推察される。 構成は、 本巻には法相宗・三論宗・華厳宗・天台宗を、 末巻には真言宗・律宗・倶舎宗・成実宗・仏心宗・浄土宗をそれぞれ収録する。 また、 末巻の終わりには室町時代後期の筆と考えられる、 「異本云 選択集私抄…」 との文が追記されている。
 体裁は本巻・末巻ともに半葉六行、 一行十七字内外である。