本経は初期無量寿経に位置づけられ、 二世紀から三世紀後半の訳出とされる。 訳者については、 支婁迦讖訳、 支謙訳、 帛延 (白延) 訳、 竺法護訳などの諸説があるが確定されていない。 支婁迦讖、 支謙については ¬大阿弥陀経¼ の解説を参照されたい。 帛延 (白延) は、 三世紀頃に活躍した西域の亀茲国出身の訳経僧で、 洛陽の白馬寺で訳経に従事した。 なお、 諸経録において 「帛」 「白」 の混同が見られ、 これについては同一人物説や、 史資料から 「白延」 を魏の時代に活躍した訳経僧、 「帛延」 を前凉の時代に活躍した訳経僧とする別人説がある。 ¬首楞厳経¼ ¬須頼経¼ などの訳出がある。 竺法護については ¬無量寿経¼ の解説を参照されたい。
 本経の具名は 「仏説無量清浄平等覚経」 といい、 「無量清浄経」 「平等覚経」 などと略称される。 本経は、 阿弥陀仏のことを 「無量清浄仏」 「無量清浄覚」 「無量清浄平等覚」 と称する特徴があり、 これが経典名の由来と考えられる。 なお、 高麗版系統では四巻、 宋版と元版は上下二巻、 明版は三巻構成となっている。
 本経の内容については、 ¬大阿弥陀経¼ とほぼ共通するため、 その解説を割愛し、 以下、 ¬大阿弥陀経¼ との比較から知られる本経の特徴を挙げる。 本経には、 ¬大阿弥陀経¼ にない讃仏偈と往覲偈が置かれ、 本願の配列や内容が相違している。 この他、 全体的な特徴として、 本経は ¬大阿弥陀経¼ に比べて同様の描写が繰り返される箇所が多い点が挙げられる。 なお、 本経の訳出については、 文言の相似から ¬大阿弥陀経¼ を参照しながら訳出したと考えられる。
 また、 初期無量寿経 (¬大阿弥陀経¼ ¬平等覚経¼) のみに見られる特徴を述べておく。 それは、 八相化儀が述べられないこと、 阿闍世王太子への授記が述べられること、 阿弥陀仏の般涅槃と観音・勢至両菩薩の補処が述べられることなどである。