板東本は、 「教・行文類」、 「信文類」、 「証文類」、 「真仏土文類」、 「化身土文類本」、 「化身土文類末」 の六冊からなり、 宗祖の高弟である性信を開基とする板東報恩寺に伝来したことから 「板東本」 「報恩寺本」 とも呼ばれる。 また全体にわたって墨書や朱書による宗祖の加筆や訂正の跡が見られることから 「草稿本」 とも呼ばれている。 「総序」 と 「教文類」 には欠損部分が大苦あり、 「行文類」 と 「真仏土文類」 には弟子の筆と見られる箇所も存する。 料紙は楮紙がほとんどであるが、 雁皮紙や宿紙なども使われ、 所々に押界が施され、 合点が記されている。 また近年、 角筆が施されていることが報告されている。 「証文類」 と 「真仏土文類」 の旧表紙には、 宗祖の筆で 「釈蓮位」 と袖書されているので当初は蓮位に与えたものであることがわかる。 また 「信文類」 「化身土文類本」 の旧表紙の外題は宗祖の筆であり、 「教・行文類」 と 「化身土文類末」 には、 性信の筆で 「弘安陸 癸未 二月二日釈明性譲預之/沙門性信 (花押)」 と記された奥書があり、 明性から板東本を譲り受けたことが記されている。
体裁は一様ではなく、 半葉七行から十行と一定していないが、 全体の八割は、 半葉八行、 一行十五字内外である。