大谷大学蔵書写本は、 表紙左上に 「蓮如上人御詠歌」 との題箋が付されており、 書写者の粟津元隅とは東本願寺の坊官を務めた人物である。 奥書に 「右実如上人御真筆書写之/于時寛文十 庚戌 年五月廿八日/元隅」 とあり、 第九代実如上人自筆の蓮如上人和歌集が存在していたことが知られ、 実悟書写本とともに、 かなり早い段階から蓮如上人の和歌集が編集されていたことがわかる。 本書写本における和歌の収録数は百二十三首であるが、 全く同内容の歌の重複が一例みられる。 歌の配列は年代順となっており、 端書は冒頭の四首のみに付されている。