龍谷大学蔵本は、 書写年紀を記した奥書はないが、 室町時代末期の書写本であり、 解説で触れた通り礼讃文が付された本派本願寺蔵版本とほぼ一致する内容をもつ。 表紙左上に 「讃阿弥陀仏偈」 と墨書され、 訓点は付されていない。 また本書は、 証如上人から本願寺歴代宗主によって収集、 伝持されてきた蔵書を収めた写字台文庫に旧蔵されていたものである。
体裁は紙表紙の粘葉装で、 十六帖、 半葉十一行、 一行二十字内外である。 なお、 字体が一部異なるが、 明和六 (1769) 年の刊本と概ね同じものである。