新潟県本誓寺蔵実如上人証判本は、 従来より 「十帖御文」 と称されているが、 現存するのは七帖のみである。 最勝寺本や真宗寺本のような奥書はなく、 各帖の最後に 「実如 (花押)」 とある。 この自署や花押についてはその形が一様ではないという指摘もあり、 本証判本が一度に制作されたものであるかについては疑論がある。 本証判本は他の実如上人証判本に比べてその収録数が多く、 現存する七帖だけでも、 一帖目に二十通、 二帖目に二十通、 三帖目に十八通、 四帖目に十八通、 五帖目に十五通、 六帖目に九通、 七帖目に十一通の計百十一通が収められている。 さらに、 その百十一通には内容の重複がみられないため、 本証判本は当初より計画的に編纂されたものと推測されるが、 その編纂意図や経緯に関しては不明な部分が多い。 また、 現存する七帖の順番は定められておらず、 内容が基本的に年紀順に配列されていることから、 帖数もそれに従って考えられている。 ただし、 七帖目は必ずしも年紀ごとの配列になっておらず、 さらに各帖にも、 無年紀のものが収められている例がみられる。 また、 全百十一通には延徳及び明応年間の 「御文章」 が含まれていないことから、 これらは現存しない残りの三帖に収録されていたと考えられる。
体裁は半葉七行、 一行二十字内外である。