福井県最勝寺蔵永正二年実如上人証判本 (最勝寺本) は、 その奥書に 「永正二年 乙丑 八月十日/書之/右此如文可有信心/決定候能々此通門徒 江/可被勧事肝要候/実如(花押)」 とあることから、 永正二 (1505) 年八月十日に、 実如上人によって制作された証判本であることがわかる。 実如上人の時代、 各地に散在する 「御文章」 が収集され、 そこから五帖八十通の 「御文章」 が編纂されている。 その 「五帖御文章」 とは別に 「御文章」 をいくつか抜粋して制作されたものが実如上人証判本で、 五帖八十通以外からも収められている。 実如上人証判本は巻尾に実如上人の花押のみが記されているものが多いが、 本証判本は奥書が記され、 制作の年紀が判明している点で貴重なものである。
本証判本には全十八通が収められ、 体裁は半葉七行、 一行十八字内外である。