愛知県本証寺蔵林松院文庫室町時代末期書写本 (林松院文庫) は、 もとは折本装であったものが、 巻子装に改められたものである。 各巻の表紙にはそれぞれ収録されている 「御文章」 の制作年代が記されている。 すなわち、 第一巻目には 「寛正二年□第/文明三年/同四年/同五年」、 第二巻目には 「文明六年/同七年/同八年同」、 第三巻目には 「文明十年/同十八年 次第/明応七年」、 第四巻目には 「元年」 と記されており、 各巻いずれも奥書を欠いている。 本書写本は収録通数が全二百五十一通という大部のもので、 これまで知られていた兵庫県教行寺蔵の名塩本の祖本に当たると目されるものである。 名塩本には文字の誤脱が多いことが指摘されているが、 本書写本の本文は非常に整ったものとなっている。 また、 右傍の書き込みから、 異本との校合が行われたことが知られるが、 校合が行われた時期については不明である。
体裁は一紙十六行、 一行十九字内外である。