本書は、 題号に示されるように、 親鸞聖人の ¬教行信証¼ 「行巻」 の末尾に置かれる 「正信念仏偈」 の文意を簡明に訳し述べられたものである。
第八代宗主蓮如上人には漢文体の ¬正信偈註¼ と ¬正信偈註釈¼ との著作があるが、 いずれも本書以前の撰述と推定されている。
内容は、 その多くを存覚上人の ¬六要鈔¼ の釈をうけ、 それに準拠しながらも、 より平易に釈されている。 初めに 「正信偈」 一部を二段に分けて釈すべきことを述べ、 前段は ¬大経¼ の意、 後段は七高僧の意をあらわされたものとするなど、 「正信偈」 の見方の基本を示されたものといえる。 次いで題号を釈し、 本文を追って解釈を施されるが、 そのなかに随所に蓮如上人独自の釈義をうかがうことができる。