本書は、 真宗教義を会得したまま口に出して陳述するように第八代宗主蓮如上人が作られたものとされ、 山科本願寺落成の頃から読むようになったといわれている。 大谷派では ¬改悔文¼ とも称する。 内容は簡潔で、 一般の人にも理解されるように平易に記されたものではあるが、 当時の異安心や秘事法門に対して、 浄土真宗の正義をあらわしたものである。
第一の安心の段には、 自力のこころを離れて阿弥陀如来の本願他力にすべてを託する、 いわゆる捨自帰他の安心が示されている。
第二の報謝の段には、 信の一念に往生が定まるから、 それ以後の念仏は報恩にほかならないという、 いわゆる称名報恩の義が示されている。 したがって、 この第一・第二の両段において、 信心正因・称名報恩の宗義が領解されたことになる。
第三の師徳の段には、 上記の教えを教示し伝持された親鸞聖人や善知識の恩徳を謝すべきことが述べられている。
第四の法度の段には、 真宗念仏者の生活の心がまえが示され、 ¬御文章¼ などに定められた 「おきて」 にしたがって生活すべきことが述べられている。