本書は､ 主として第八代宗主蓮如れんにょ上しょう人にんの御一代における法語や訓誡および上人の行動などを収録し､ さらに蓮如・実如じつにょ両上人に関係する人々の言動も記録されたものである｡ すべて箇条書きになっていて､ 本聖典には三百十四条を収めているが､ その他条数の異なる諸本もある｡ これは本書が､ 数種の語録からの抜き書きを集めて構成されていることを示している｡ なお､ 編者については諸説があって定かではない｡
　内容については､ 真宗の教義､ 倫理､ 生活､ 儀礼など多岐にわたり､ 故実や多くの人物の動静によって､ 懇切に興味深く記されている｡ しかし､ 全体を通して主題となっているのは､ 信心しんじん獲ぎゃく得とくすることがいかに大切であるかにつきるといってよい｡
　本書は誰にでも分りやすく､ 簡潔に浄土真宗の肝要かんようを述べることに努められた上人の態度が､ もっともよくあらわれている法語集であり､ 浄土真宗の信者はこれによって念仏者としての生活の規範を知り､ 座右に置いて反省の資にすることができるであろう｡