本書は親鸞聖人の主著で、 ¬教行信証¼、 ¬教行証文類¼、 ¬広文類¼、 ¬本典¼ などとも呼ばれ、 浄土真宗の教義体系が示されている。 すなわち本願力回向を往相回向・還相回向の二つに分け、 往相すなわち衆生が浄土に往生しさとりに至る法義を教・行・信・証の四法として明かされたものであり、 浄土真宗における立教開宗の根本聖典である。 はじめに総序があり、 続いて教・行・信・証・真仏土・化身土の六巻に分けて詳細に宗義が明かされ、 終りに後序がある。
まず教とは ¬無量寿経¼ であり、 釈尊が世に出られた本意はこの本願名号の教えを説くことにある。 その本願名号の教えが、 続く行信証の因果である。 行とは本願の名号であり、 衆生の闇を破り、 往生成仏させる如来選択の行である。 信とはこの行を領受した無疑の信心であり、 名号を体とするこの信は仏の大智大悲の心にほかならず、 衆生を往生成仏させる因となる。 これを信心正因という。 証とは如来回向の行信の因が、 果すなわち弥陀同体のさとりとしてあらわれることであり、 そのはたらきとして衆生救済の活動である還相が展開する。 このようなさとりの境界が真仏土 (真仏・真土) であり、 光明無量・寿命無量の境界であって、 往相・還相の二回向の源でもある。 続いて化身土 (化身・化土) を示すことにより、 前五巻ににおいて示された浄土真実の教えと方便・邪偽の教えとを区分して明かし、 いよいよ真実の教えとは何かを明らかにされるのである。