1227: 1 領解文
1227: 5 もろもろの雑行雑修自力のこころをふりすてて、一心に阿弥陀如来、われらが今度の一大事の後生、御たすけ候へとたのみまうして候ふ。
1227: 6 たのむ一念のとき、往生一定御たすけ治定と存じ、このうへの称名は、御恩報謝と存じよろこびまうし候ふ。
1227: 8 この御ことわり聴聞申しわけ候ふこと、御開山聖人御出世の御恩、次第相承の善知識のあさからざる御勧化の御恩と、ありがたく存じ候ふ。
1227:10 このうへは定めおかせらるる御掟、一期をかぎりまもりまうすべく候ふ。
1227:13 本願寺釈法如
1227:15 右領解出言の文は、信証院蓮如師の定めおかせらるるところなり。真宗念仏行者、すでに一念帰命、信心発得せる領解の相状なり。このゆゑに古今一宗の道俗、時々仏祖前にしてこの安心を出言し、みづからの領解の謬りなきことを敬白するなり。
1228: 3 しかるにこのごろその後生の一大事を軽忽し、みづからたしかに弥陀をたのみたる一念の領解もなく、またこの領解文をも記得せざる類あり。あるいは記得し出言しながら、心口各異にして慚愧せざるのものあり。はなはだ悲歎すべきところなり。
1228: 5 こひねがはくは一宗の道俗、この出言のごとく、一念帰命の本源をあやまらず如実相応して、すみやかに一大事の往生を遂ぐべきものなり。
1228: 7 このゆゑにいまひめおきし蓮師の真蹟を模写し印刻して、家ごとに伝へ、戸ごとに授けて、永く浄土真宗一味の正意を得せしめんと思ふものなり。
1228:11 天明七丁未年四月 釈文如これを識す