1016: 9 基親取信信本願之様。
1016:10 双巻上云、設我得仏、十方衆生、至心信楽欲生我国、乃至十念。若不生者、不取正覚。
1016:12 同下云、聞其名号信心歓喜、乃至一念。至心廻向、願生彼国。即得往生、住不退転。
1016:14 往生礼讃云、今信知、弥陀本弘誓願、及称名号下至十声一声等、定得往生、乃至一念無有疑心。
1017: 2 観経疏云、一者決定深信自身現是罪悪生死凡夫、昿劫已来常没常流転、無有出離之縁。二者決定深信彼阿弥陀仏四十八願摂受衆生、無疑無慮乗彼願力、定得往生。
1017: 5 これらの文を按じ候て、基親罪悪生死の凡夫なりといゑども、一向に本願を信じて、名号をとなえ候、毎日に五万返なり。決定仏の本願に乗じて上品に往生すべきよし、ふかく存知し候也。このほか別の料間なく候。
1017: 7 しかるに或人、本願を信ずる人は一念なり、しかれば、五万返無益也、本願を信ぜざるなりと申す。
1017: 9 基親こたえていはく、念仏一声のほかより、百返乃至万返は、本願を信ぜずといふ文候やと申す。
1017:10 難者云く、自力にて往生はかなひがたし、たゞ一念信をなしてのちは、念仏のかず無益なりと申す。
1017:11 基親また申ていはく、自力往生とは、他の雑行等をもて願ずと申さばこそは、自力とは申候はめ。
1017:12 したがひて善導の疏にいはく、上尽百年下至一日七日、一心専念弥陀名号、定得往生。必無疑と候めるは、百年念仏すべしとこそは候へ。
1017:14 また聖人御房七万返をとなえしめまします。基親御弟子の一分たり、よてかずおほくとなえむと存じ候なり、仏の恩を報ずる也と申す。
1018: 2 すなわち礼讃に不相続念報彼仏恩故、心生軽慢。雖作業行、常与名利相応故、人我自覆不親近同行善知識故、楽近雑縁、自障障他往生正行故。云云
1018: 4 基親いはく、仏恩を報ずとも、念仏の数返おほく候はむ。