◎経を読み行道して往生浄土を願う法事の讃歌 巻上
沙門善導集め記す
【1】 ^*四天王を請じたてまつる
ただちに道場の中に入りたまえ
^獅子王を請じたてまつる
獅子王にもまた逢いがたい
^その身の毛衣を奮い立てれば
もろもろの悪魔は退散する
^頭首をめぐらして法師を請じたてまつり
ただちに涅槃のみやこに入ろう
【2】 ^序していう。
^ひそかに思うに、 迷いの*娑婆は広大であって、 *火宅はほとりがない。 *六道にあまねく*輪廻して暗い迷いの夜は永く、 われらは生れながらの盲目のようで真理をさとることは、 まだ期せられない。 聖者の引導は自在であっても、 いずれも迷いに堕ちて、 逝く水の長い流れに等しく、 いくたび生れ変っても誰もこれを救うことはできない。 これすなわち迷いの生を受けてよりこのかた、 きわまりがなく、 *塵点久遠劫よりも越えているのである。 しかもなお悠々としていて、 すぐれた仏法の縁に遇うのはいつの日であろうか。
^上は、 はじめの*海徳仏から今の*釈迦仏に至るまで、 みな弘い誓をもって慈悲と智慧とを双べ行じて、 *有情を捨てずに身・口・意の*三業の説法をもって、 あまねく教化したもうた。 しかるに、 われらは*無明の障りが重くて仏の出世に逢わず、 また、 たとい同じく仏の世に生れてもまた覆える器のように教化を受け入れなかった。 仏の威神の*光明は平等に照らして有情の*四生の区別を見ず、 慈悲の及ぶことは偏ることなく、 すべての者に法の潤いをあたえる。 このように法水の中におりながら、 われらはいつまでたってもなお頑迷で、 迷いの因果があいより、 *三毒の火が時に応じてまた起るのである。
^仰いで思うに、 仏の大悲のご恩は重くて、 等しくわれらの身田を潤し、 智慧をひそかに*加被してさとりの芽を増長させ、 慈悲の方便をもって教え導いてくださることは、 そのよろしきに随い、 ^勧めて*阿弥陀仏を念じさせて*西方浄土に帰せしめたもうのである。
^浄土の地面は、 いろいろの珍しい宝をまじえて、 光の色が競い輝き、 功徳の水は美しく澄んで、 玲瓏として影がすきとおっている。 宝の楼閣は重なり接して同じように不思議な光を輝かし、 林の樹木は*瓔珞を垂れて風がみやびやかな曲を奏で、 華の台は、 いろいろにかざられてうるわしくすぐれている。 聖衆がたは一緒にいられて、 その光明が千の日輪にも踰えて輝き、 身はすなわち紫金の色であって、 *相好がおごそかであり、 往来進止には、 つねに虚空に乗じて飛行自在である。 もし*依報をいえば、 すなわち十方に超えすぐれていて、 地上も虚空もみなひとしくてちがいがない。 他方世界の*凡夫も*聖者も仏の願に乗じて往き、 かしこに到れば、 みな殊なることなくひとしく*不退の位を得る。
^ただ、 如来は巧みなてだてをもってすべて一切の有情に対して、 この娑婆世界を捨てて*極楽に生れることを欣わせ、 専ら弥陀の*名号を称え、 兼ねては ¬*阿弥陀経¼ を誦むことを勧めたもうから、 われらは、 かの浄土の荘厳を識って、 この苦しい娑婆を厭い、 *三心*五念を一生涯相続して*正助の行を*四修をもって一*刹那もひまなくつとめ、 この功徳を回向してあまねく一切の衆生に施し、 寿終れば蓮台に乗じてみな共にかの浄土に*往生しようと思うのである。
【3】 ^およそ自分のためにも、 また他人のためにも、 道場を設けようとする者は、 まず堂舎を飾って尊像を安置し、 幡や華などを供えおわってから、 大衆らは多い少ないにかかわらず、 すべて身体を洗いきよめ、 清らかな衣を着て、 道場に入って法を聴かしめよ。 仏・菩薩を召請しようとする人、 および讃文を合唱する者はみな立ち、 大衆は坐らせて、 一人にまず焼香・散華させ一遍めぐらせる。 そうして後、 作法に依って、 声を出して召請して云え。
【4】 ^*般舟三昧の楽しみ せんことを
大衆心を同じくして迷いの*三界を厭え 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
*三途は永く絶えて願わくはその名もないように 楽しみ
^三界の*火宅にはとどまりがたい せんことを
仏の*願力に乗じて西方浄土に往生せよ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
仏の慈恩を報ずることを念じて常にこれをいただけよ 楽しみ
【5】 ^大衆は華を持って恭しく起立し せんことを
まず阿弥陀仏が道場に入りたもうことを願う 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
*因位の誓に違わずして時に応じて迎えてくださる 楽しみ
^*観音菩薩・*勢至菩薩をはじめ多くの方々は せんことを
如来に従って華に乗じてこの*会座に入られよ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
観音菩薩はみ手をさずけて華台に入れてくださる 楽しみ
^*無勝荘厳国の*釈迦牟尼仏よ せんことを
わがささやかな心を受けて道場に入られよ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
身を砕いて釈迦如来の御恩を謝したてまつる 楽しみ
^かの無勝荘厳国の大海の如き多くの聖者は せんことを
釈迦仏に従って華に乗じてこの会座に入られよ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
仏の不思議の化導を助け衆生を*済度してくださる 楽しみ
^十方にまします*恒河沙の諸仏は舌を舒べて せんことを
われら凡夫が*安楽浄土に生れることを証誠される 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
慈悲をもって人々を済度せられる大悲心 楽しみ
^この*恒河沙の諸仏の大悲心に*慚愧したてまつる せんことを
わがささやかな心を受けてこの道場に入られよ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
心を専らにし浄土の仏前に生れることを期待する 楽しみ
^それぞれの如来の大海の如き聖衆がたよ せんことを
みな仏に従い華に乗ってこの会座に入られよ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
すべてこれは往生のもっともすぐれた力である 楽しみ
^仏は*二十五菩薩をつかわして せんことを
すべての時に来たって常にわれらを護念させたまう 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
命おわればただちに*涅槃の城に入る 楽しみ
^仏は衆生が*四種の悪魔の障りによって せんことを
また極楽に至らないで三途に堕ちることを心配したもう 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
二心なく如実に行ずれば仏は必ず来たり迎えられる 楽しみ
^私は今大衆と共に深く慚謝したてまつる せんことを
わがささやかな心を受けて来たってこの会座に入りたまえ 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
心を専ら注いで娑婆を出でよ 楽しみ
【6】 ^本国の阿弥陀如来および聖衆がたが せんことを
みな同時に共に来たってこの道場に坐られる 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
道場の聖衆がたは実に逢いがたい 楽しみ
^大衆はみなこの阿弥陀如来の大会を頂礼して せんことを
あまねく香華を散らして同じく供養したてまつろう 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
阿弥陀仏の光明は往生人を摂めとりたもう 楽しみ
【7】 ^阿弥陀仏の大涅槃の会座に対して せんことを
各誓願を発して華台に乗ることを請じたてまつる 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
極楽の荘厳の門が今尽く開かれている 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
専心に*念仏して華台に登ろう 楽しみ
^般舟三昧の楽しみ せんことを
華台に乗ったならばただちに往生することは疑いない 楽しみ
【8】 ^われら心を斉しくして高座の導師に請う 楽しみ
ねんごろに尊い経を説かれよ 楽しみ
思い議り難い 楽しみ *沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^この道場を設ける時に逢うことは難い 楽しみ
*無常は迅速で命はこの世に停り難い 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^眼前の業道の逃れ難いのを人々は見る 楽しみ
これみな三毒によってその因縁を作ったのである 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^人間の身を受けても常に闇鈍であって 楽しみ
*貪欲・*瞋恚や*邪見ばかりが起り続けている 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^日夜心くらくして目覚めない 楽しみ
またこれは三途に流浪する因である 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^たちまちに長*劫の苦に輪廻したならば 楽しみ
弥陀浄土の法をいずれのとき聞くことができようか 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^大衆心を同じうして高座に願う 楽しみ
人々を済度するために法を説かれよ 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
^わたしたちは心を傾けて法を聞くことを楽い 楽しみ
手に香華を執って常に供養したてまつろう 楽しみ
思い議り難い 楽しみ 沙羅双樹の下 楽しみ 思い難い 楽しみ
【9】 ^道場の中の大衆はみなともに心から敬礼して常住の仏に帰命したてまつる
^道場の中の大衆はみなともに心から敬礼して常住の法に帰命したてまつる
^道場の中の大衆はみなともに心から敬礼して常住の僧に帰命したてまつる
【10】^敬って申し上げる。 道場の大衆らは、 おのおの心をひきしめて、 指を弾き合掌し、 頭を叩いて帰命し、 本師釈迦仏、 過去・現在・未来の諸仏世尊を礼拝したてまつる。 ^仏に帰依したてまつるわけは、 仏は衆生の大慈悲の父であり、 また迷いを出るためのすぐれた良き力であるからである。 その恩徳を計れば、 塵点久遠劫を過ぎても、 これを述べ尽すことはできない。
^¬*賢愚経¼ に説かれてある。 「一々の諸仏は、 はじめ*菩提心を起されてから遂に*仏果に至るまで、 専心に法を求めて、 身命も財宝も顧ることなく、 慈悲と智慧とを双べ行じて、 かつて退く念がない」 と。 ^あるいは人の逼め試みて、 自らの皮を張り肉を分かつようなことに逢い (鬱多羅仙人の因縁)、 あるいはみずから身を割いて鳩の命を延ばし (尸毘王の因縁)、 あるいは千遍も頭を施して法を求め (月光王の因縁)、 ^あるいは身に千本の釘を打って四句の法を求め (毘楞竭梨王の因縁)、 あるいは身を刺しその血をもって*夜叉を救い (弥佉羅抜羅王の因縁)、 あるいは妻子を捨てて*羅刹に与え (妙色王の因縁)、 ^あるいは慈悲の方便を設けて禽魚となることによって多くの人を救って飢難を逃れさせ (設頭健寧王の因縁)、 ^あるいは金毛の獅子となって猟師に与え (提毘王の因縁)、 あるいは白象となってその牙を抽いて自ら菩提を求めるために猟師に与えた (*大智度論に出る*釈尊本身の因縁)。 ^あるいはかたきを見ることが、 あたかも赤子のように、 あるいは*外道を見ること、 たとえば我が子のようである。 彼我の区別がない、 どうして凡夫と聖者を区別しようか。
^三*阿僧祇の長い間の修行は、 みなよく*無漏とあいかない、 それぞれの地位において修行の効をおさめて、 ついに果が円満するのを仏というのである。 その御身は*閻浮檀金の光があって千の日輪が競い輝くようであり、 相好の明らかなことは、 たとえば多くの星が夜空に輝くようである。 *結跏趺坐して、 いずれから見ても正面にましますおすがたが、 円満にして明らかである。 ^*法界の衆生は、 みな同じく帰依して、 おのおの如来の面相を見たてまつる。 如来は身も心も湛然として動かず、 しかも衆生*化益のはたらきは、 時や*根機を失わないで、 その機類に随って変現し、 神通自在に済度されるが、 *報身の体はもとより不動である。 おもうに如来の智慧の徳はこれを讃嘆するに尽し難い。
^道場の人々よ、 おのおの慚謝の心を起せよ。 諸仏がわれらのために、 よく御身を捨ててくださることは塵点久遠劫よりも長い。 かなしいかな、 如来は、 よくこの至難なことをはげみ、 長い間勤めて疲労の苦痛を忍びたもう。 また衆生のために苦行されても、 いささかも恩を施した思いがなく、 われらをして等しく迷いを出て*菩提をさとり、 遂に仏果に至らしめようと思召された。
^われらは心を同じうして、 いまの施主某甲らのために、 十方の諸仏すべての世尊を請じたてまつる。
【11】^弟子たちが敬ってもろもろの仏がたの境界を窺うに、 これは唯仏のみよく知ろしめすところで、 浄土のすぐれてうるわしいことは凡夫のよく知るところではない。 法・報・応の*三身の化益のおはたらきとして、 みな浄土を設けて*群生を導きたもう。 その体は別がないから、 有情はこれに帰依して悟りを得る。
^しかしながら凡夫は乱想であって、 それに寄託することができないから、 釈迦や諸仏は慈悲を捨てず、 ただちに西方十万億土を指し示される。 ^その国は極楽と名づけ、 そのみ仏は阿弥陀如来と号し、 今現に在して説法していられる。 その国は清浄で、 *常楽我浄の四徳を具えている。 ながくそしりきらわれる名を絶ち、 平等のさとりを開いて、 憂い悩みはない。 善悪すべての人々がみな往生することができ、 かしこに至れば、 なんの区別もなく、 同じように不退の位を得るのである。 ^どういうわけでそうなるのかといえば、 それは阿弥陀如来が*法蔵菩薩の因位のときに、 *世自在王仏のみもとにあって、 王位を捨てて出家し、 すなわち慈悲と智慧の心を起して広く*四十八願をおこされたからである。 如来の願力をもって*五逆や*十悪の者の罪を滅して往生を得させ、 *謗法・*一闡提のような者でも、 心をひるがえして信ずれば、 みな往生できる。 ^また、 *韋提希夫人が釈尊にお願いして、 誓って娑婆を捨てて念々に遺れず決定して極楽に生れることを求め、 如来はその願いによって、 *定善・*散善の両門、 *三福*九品を説いて、 いまだかつて聞いたことのない広大な利益をなされた。 ^また、 十方恒河沙の諸仏がたが共に釈尊の諸説を讃嘆して広長の舌を舒べてあまねく*三千大千世界を覆うて弥陀の浄土に往生を得ることの間違いのないことを証明されたからである。
^これらの諸仏世尊は、 慈悲をもって今の施主某甲および大衆の請いを受け、 この道場に入って功徳を証明されよ。
^請いたてまつり終って、 今大衆を勧める。 おのおの心をひきしめて帰依して合掌し礼拝せよ。
【12】^下座のものが高座のものに接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
大衆ことごとく本師釈迦仏、 十方世界のもろもろの如来に帰依したてまつる。
^願わくは施主ならびに大衆の請いを受けられて
慈悲をもって道場に入られ
^功徳を証明してもろもろの罪を滅したまわんことを
心を向け念を一つにして阿弥陀仏を見たてまつろう
^われらはみな身心に喜んで
手に香華を執って常に供養しよう
^高座が下座に接いで讃嘆して云え。
【13】^また高座は下座に接いで召請して云え。
^重ねて道場の大衆に申す。 おのおの心をひきしめて指を弾き、 合掌し、 頭を叩いて一心に帰命したてまつれ。 ^今の施主および大衆のために、 次にまさに十方法界の諸仏の説かれた八万四千の経を請いたてまつる。 ^また仏の全身の*舎利、 および散身の舎利を請いたてまつる。 ただ願わくは不思議な光明を放ち、 この道場に入って功徳を証明されんことを。
^また、 十方世界の*声聞・*縁覚のさとりを得た聖者を請じたてまつる。 ただ願わくは慈悲の心をもって大神通を現し、 この道場に入って功徳を証明されんことを。
^またまさにもろもろの菩薩がた、 すなわち*普賢・*文殊・観音・勢至などを請じたてまつれよ。 ただ願わくは慈悲の心をもってわれらの願いを満たし、 この道場に入って功徳を証明されんことを。 ^帰依し請いたてまつるわけは、 このもろもろの菩薩がたは、 はじめ発心されてより菩提を得られるまで、 常に*真如に契うて修行し、 人を救うことが偏ることなく、 *自利*利他を行じてしばらくも休む時がない。 ^常に法を説いて一切の世間をさとらせ、 光明はあまねく無量の仏国を照らし、 一切の世界は六種に震動し、 すべての魔界を摂めてその宮殿を震動させ、 邪法を引き裂きもろもろの悪見を消滅させ、 いろいろの煩悩を消散し愛欲の塹を壊ち、 法の門を開いて清白の道を明らかにし、 仏法を説いて正しい化導をひろめ、 ^常に貪欲にけがされない身・口・意業を行じ、 常に退転しない身・口・意業を行じ、 常に他から動かされない身・口・意業を行じ、 常に他から讃嘆される身・口・意業を行じ、 常に清浄の身・口・意業を行じ、 常に悩みなき身・口・意業を行じ、 常に智慧の身・口・意業を行じて、 ^覚悟が成就し、 禅定と智慧とを成就していられるからである。
^これらの菩薩がたは、 常にもろもろの天・竜などの*八部衆や、 人王・*梵天王などに護られ敬われ供養せられている。 一切衆生のために救いの主となり帰依するところとなり、 よき朋となり尊ばれるところとなり、 勝れたところとなり最上のものとなられる。 それぞれ無量の行願を具足して衆生を利益されるところが多く、 人・天を安穏にしてすべての者に利益を与えられる。 ^十方世界におもむいては慈悲方便を行じ、 また真如をさとって涅槃の岸に達し、 智慧のすぐれて明らかであることは、 思いはかることができない。 仏の教を説いて如来の*一切種智を成就し、 一切の法においてことごとく自在を得られた。 ^このようなすぐれた菩薩大士がたは一々数えることができない。 ^願わくは、 その慈悲のみ心から、 われらの請いを受けられて、 みな一時にこの会座に来たって道場にお入りくだされて、 今の施主某甲のために、 その功徳を証明されんことを。 ^今勧める、 道場の大衆よ、 みな心をひきしめて仏に帰依し、 合掌して礼拝したてまつれ。
【14】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^われらはまれに諸仏の法を聞く
竜宮の八万四千の法門が
^すでに不思議の光明を放って道場に入り
功徳を証明し またわれらの願いを満てたもう
^これによって苦を離れて阿弥陀仏を見たてまつり
あらゆる世界の衆生もまた障りを除かれるであろう
^われらは身も心もみな踊躍し
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【15】^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^竜宮の経藏は恒河の沙の数ほどあるが
十方世界の仏法はまたこれより過ぎている
^わたしは今心を専ら注いですべての法を請いたてまつる
大威神光を放って道場に入り
^功徳を証明し また罪を除いて
施主の菩提の芽をそだてられんことを
^われらは おのおの心を斉しうして
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【16】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^今日の道場に遇うことはむずかしく
無上の仏法もまた聞き難い
^命終り身の尽きるまでもろもろの悪を断ち
これによって念々のうちにみな罪を除き
^*六根が明らかに惺悟することを得て
戒・定・慈悲を誓って虚しくすまい
^われらは身も心もみな踊躍して
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^高座は下座に接いて讃嘆して云え。
【17】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^久しく娑婆にとどまって常に迷いに沈み
*三悪趣・*四悪趣をみな経て来た
^あるいは体に毛をつけ頭に角をいただいて衆の苦を受け
いまだかつて貴い人を見たり聞いたりしたこともない
^この長い間の疲労を憶い
命終って阿弥陀仏を見たてまつりたいと願う
^われらは身も心もみな踊躍して
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【18】^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^われらはことごとく帰命して、 今施主および衆生のために、 すでに十方法界の全身の舎利と散身の舎利とを請じたてまつる。 衆生を利益することは、 そのよろしきに随い、 形を分かって赴かれる。 また形を大小に分けられるといっても、 尊い化益はみな同様で殊なることがなく、 大きいものは山岳に同じく、 小さいものは塵芥のようである。 命終るまで真誠をもって心を斉しうして供養したてまつろう。 そうすれば、 近くは人・天の果報を得て高貴安楽を永く身に得、 また遠くは浄土の*無生をさとって涅槃の常楽を得るであろう。 また願わくは道場の大衆よ、 おのおの心を斉しうして手に香華を執って常に供養したてまつろう。
【19】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^仏心の舎利は大小によらず
見聞するに随って喜んで供養を修めよう
^自ら作した善根も他人の福徳も
すべて合集してみな回向し
^中夜に励んで決して退かず
心を専らにして必ず阿弥陀仏を見たてまつろう
^われらはみな身も心も踊躍して
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^高座は下座に接いて讃嘆して云え
【20】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^普賢・文殊の二菩薩には弘い誓がある
十方の菩薩たちもみな同様である
^一念に身を分かってあまねく六道に赴き
*根機に随って化益し迷いの因縁を断ってくださる
^願わくは われ生々に親近することを得て
*囲遶して法を聞いて真如の門を悟ろう
^永く煩悩と生死の業とを除いて
誓って弥陀の浄土の人となろう
^われらおのおの身心を斉しうして
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【21】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^十方の菩薩の大慈悲心は
身命を惜しまず衆生を済度される
^六道に身を分け機類に随って現れ
ために妙法を説いて無生を証らせる
^さとりの浄土はだれでも入ることができる
その浄土は広く寛やかで比べ量るものがない
^行住座臥にいつも仏を見たてまつり
法の侶があい携えて法堂に入る
^われらは身も心も踊躍して
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^下座は高座に接いて讃嘆して云え
【22】^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^今の施主および一切衆生のために
賢聖がたが道場に入って
^功徳を証明されんことを請じたてまつる 供養したてまつろう
^三毒の煩悩はそれによって滅し
まよいの罪はみな除かれるであろう
^願わくは われ生々に諸仏に値いたてまつり
念々に道を修めて*無余のさとりに至ろう
^この今生に積んだ功徳を因として
当来には必ず定んで浄土の宝池に往生しよう
^われらは おのおの身心を斉しうして
手に香華を執って供養したてまつろう
【23】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^菩薩聖衆がたはその身が別々であるが
慈悲と智慧とは等しくしてみな殊なるところがない
^身も財宝も捨てて妙なる法を求め
難行苦行していまだかつて休まれない
^誓って菩提に至って涅槃に登り
大慈悲の光明を放って迷いの衆生を救われる
^迷いの衆生とはわが身である
この光明に乗せられて命終って西方に生れよう
^われらは身も心もみな踊躍して
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^高座は下座に接いて讃嘆して云え。
【24】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^今の施主のためにみなすでに
十方の諸仏が道場に入りたまわんことを請じたてまつる
^竜宮の法蔵も仏の舎利も
すでに尊い光明を放って道場に入りたもう
^*阿羅漢・*辟支仏は神通自在で
一念の間に華に乗じて道場に入りたもう
^普賢・文殊などの諸菩薩も
すべて共に来たって道場に入りたもう
^これらの聖衆がたは雲のように集まり
地上も虚空も量ることができない
^それぞれ百宝蓮華の座に坐して
功徳を証明し 慈悲の光明を放たれる
^このような聖衆がたにめぐりあうことはむずかしい
みな同時に発願して西方に生れよう
^われら心を等しうしてみな踊躍し
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【25】^観音菩薩を請じたてまつる讃に云う。
^観音菩薩を請じたてまつる 楽
慈悲をもってこの道場に降りたまえ 楽
^おごそかな容をもって空中に現れ 楽
忿怒の相をもって魔王を降し 楽
^身をあげて法の鼓を振い 楽
勇猛に威光を現したもう 楽
^手の中に香色 (茶褐色) の乳があり 楽
眉間には*白毫の光がある 楽
^宝の蓋はその身に随って転り 楽
蓮華は歩むに随ってあざやかである 楽
^池には*八功徳水がめぐり 楽
華は戒定の香を放つ 楽
^飢えては*九定の食をとり 楽
渇いては*四禅の漿を飲む 楽
^西方浄土の*七宝の樹々は 楽
音律が*宮商に合うている 楽
^枝の中には*実相の色を示し 楽
葉の外には無常のすがたを現している 楽
^願わくは この世の果報を捨てて 楽
発願して西方浄土に入ろう 楽
【26】^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^重ねて道場の大衆に申す。 おのおの心をひきしめて指を弾き合掌し、 頭を叩いて心を専ら注いで想いを運べ。 ^いま施主某甲らのために十方法界の人・天・凡・聖の水・陸・虚空一切の香華・音楽・光明・法蔵・香山・香衣・香樹・香林・香池・香水を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の宝樹・宝林・宝衣・宝池・宝水・宝幡・宝蓋・宝華・宝網・宝楼・宝閣を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の華林・華樹・華幡・華蓋・華楼・華閣・華宮・華衣を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の光雲の樹、 光雲の林、 光雲の網、 光雲の衣、 光雲の蓋、 光雲の幡、 光雲の台、 光雲の楼、 光雲の閣、 光雲の楽、 光雲の香、 光雲の池、 光雲の水、 光雲の山を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の香雲の山、 香雲の衣、 香雲の樹、 香雲の林、 香雲の網、 香雲の蓋、 香雲の幡、 香雲の楼、 香雲の閣、 香雲の池、 香雲の水、 香雲の光、 香雲の楽、 香雲の華、 香雲の台を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の宝雲の山、 宝雲の樹、 宝雲の華、 宝雲の果、 宝雲の衣、 宝雲の幡、 宝雲の蓋、 宝雲の網、 宝雲の楽、 宝雲の楼、 宝雲の閣、 宝雲の光明、 宝雲の天衣、 宝雲の供養海を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の華雲の山、 華雲の林樹、 華雲の幡蓋、 華雲の衣服、 華雲の羅網、 華雲の音楽、 華雲の台座を請じたてまつる。 どうぞ、 この道場に入られよ。
^また一切の天人の変化の荘厳供養海、 一切の声聞の変化の荘厳供養海、 一切の菩薩の変化の荘厳供養海、 一切の諸仏の変化の荘厳供養海を請じたてまつる。
^このような無量無辺恒河沙の数ほどの供養の具、 種々の荘厳をことごとく請じたてまつる。 この道場に入られよ。
^一切の仏・舎利ならびに真のみ法と菩薩・声聞衆を供養したてまつる。 この香華雲の荘厳の供養海を受けて、 施主と衆生のこの願いを満たすがために、 思いのままに供養の具をあらわし、 それを受け用いて仏事を行じられよ。 ^供養し終った。 人々はおのおの心から帰依し合掌して礼拝したてまつれ。
【27】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。 願わくは、 この転経行道の法事を行う弥陀の会座の中にあって、 手に香華を執って常に供養したてまつろう。
【28】^請じたてまつることが終って、 すなわち行道七遍せよ。 ^それには一人が華をもって道場の西南の角に立ち、 行道の人がそこに来るのを待って、 ことごとく華を配って行道の人たちに与える。 行道の人たちは華を受けとって、 すぐに散らしてはならない。 しばらく待っておのおの自ら心を専ら注いで供養し行道して仏前に至るのを待って、 そこで意に随って散華するのである。 ^散華し終るとすなわち通り過ぎ、 また華を配る人の所に至ってさらに華を受け、 また前の作法のようにする。 ^このように七遍くり返して行道が終れば、 おのおの本の座のところにおいて立ち、 *梵唄の声が終るのを待って坐れ。
【29】^高座は下座に接いで大衆の行道を勧めてすなわち云え。
^一切の香華を請じたてまつって供養することが終った。 すべての仏・菩薩がたを敬って、 道場の大衆はおのおの香華をとり、 作法のとおりに行道せよ。
【30】^行道の讃梵の*偈に云う。
^弥陀世尊を請じたてまつる 道場に入りたまえ 楽
^釈迦如来を請じたてまつる 道場に入りたまえ 楽
^十方の如来を請じたてまつる 道場に入りたまえ 楽
【31】^道場の荘厳は極めて清浄で
天上や人間界に比べるものがない
^過去・現在の諸仏などの尊い方々
人天・竜神・鬼神中にある法蔵
全身・散身の仏舎利に対して
^大衆は華をもってその上に散じ
尊顔を仰ぎみて繞ること七帀
梵声などすべて供養したてまつる
^願わくは わが身の浄いこと香爐のごとく
また願わくは我が心は智慧の火のごとく
念々に戒・定の香を焚いて
十方三世の仏を供養したてまつろう
^大悲釈迦如来や
十方恒河沙の諸仏世尊に慚愧したてまつる
慈悲善巧の方便をもって
共に弥陀の*弘誓を讃めたもうた
^弘誓は多くて四十八あるけれども
ひとえに念仏をもって最も弥陀に親しい行であるとされる
人あってよく仏を念ずれば仏もまたその人を念じ
専心に仏を想えば仏はその人を知りたもう
すべて心を回して安楽浄土に向かえば
真金の功徳身を見たてまつる
^浄土の荘厳やもろもろの聖衆がたは
ほのかに常に行者の前にいます
行者は見おわって心に歓喜し
命終るときに仏に従って金の蓮華に坐る
一念のうちに華に乗って仏の会座に到り
ただちに不退を証って*三賢位に入る
【32】^下座は梵唄の人の声に接いで起立して讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。 道場の大衆多くの者は
^歴劫からこのかた三界を経めぐり
六道にさまようて止むことがない
^今たまたま道場に仏を請ずる会座を見て
まのあたり仕えて供養したてまつることは量りなく尊い
^七たび巡り行道して散華しおわり
悲喜交々まじわり罪を滅することを願う
^この善根によって極楽に生れ
華開けて仏を見たてまつり無為の証りを得よう
^大衆らは心を持って本座につき
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
【33】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^釈迦如来がもと願をおこされたときより
すみやかにわずらわしい世間を捨てて苦行を修し
^念々に精勤して退きたもうことがなかった
日月や歳年を限ることなく
^大劫・小劫 量りなき劫のあいだ
大地を微塵にくだいた数の劫よりもこえて
^身も財宝も捨てて専ら法を求め
慈悲の誓願をもって衆生を救いたもうた
^今あまねく衆生に西方の安養国に帰して
逍遥として楽しく*三明をうることをすすめられる
^大衆ら おのおの身心を傾け
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【34】^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^大衆よ 心を斉しうして渇仰の思いを生じ
ねんごろに頂礼し よろこんで経を聞け
^仏がたの衆生済度を重んずることは身命よりも過ぎたもう
王位を貪らず千たびも命を捨て
^七寸の長い釘が体中に入っても
衆生利益を心として憂いを生ぜず
^自分で身体の皮をはいで経偈を写し
あまねく人々が法の流れに入ることを願われる
^身をくりて身血を流し油を入れて千灯を炎々と灯せば
諸天は涙を流して華を散らして周り
^また菩薩の身心の苦しみを傷めば
ほのかに笑みを含んで瞋りのすがたがない
^仰ぎ願わくは大衆同じくみ法を聞いて同じく悪を断とう
遇いがたいみ法であるから誓って心を専らにせよ
^念々に心を向けて浄土に往生を願い
命おわってかの涅槃の門に入ろう
^おのおの心をかたむけて他の想いなく
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【35】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^無始*曠劫よりこのかた迷いに居り
常に三途に没してあらゆる苦しみを経て来た
^今はじめて人身を受けて正法を聞く
あたかも渇けるものが清い泉を得たごとく
^念々に浄土の教えの文々句々を聞くことを思い
誓ってまさに勤めよ
^長い間の流浪の苦しみを憶うて
心を専らにして法を聞いて真如の門に入ろう
^浄土は無生のさとりであってまた差別がなく
究竟解脱の金剛身である
^こういうわけで高座に請じて
仏の慈恩を報ずるために法輪を転ぜられることを願う
^われらはみな身も心も踊躍して
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
【36】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
^衆生は仏を見たてまつれば心に悟りが開ける
発願して共々に諸仏の家に生れよう
^この娑婆世界に住まってから久しく
功徳なく命を終ったことは塵沙の劫である
^みずから思うに心頑で鈍いのは
まことに地獄にあって銅車に臥したからである
^銅車は炎々と燃え 止まり居ることは苦しい
一念のうちに百千たびも死ぬ
^ただこの地獄のみ苦痛が多いのではない
すべての地獄がみなこのようである
^地獄に一度入れば大地微塵劫を過ぎる
*畜生道や*餓鬼道もまたそのようである
^今たまたま人身を得たのにいたずらに罪を造り
諸仏の教をそしりこぼつ
^聖教をそしる罪はまことに深い
良善を謗るならば常に苦に沈む
^大衆には神通力があるといっても
救うことができなくてますます心をいためられる
^今道場に集まった人々に勧める
極まりない罪を口にあらわして*懴悔しよう
^われらは共々にかの浄土を願うて
手に香華を執って常に供養したてまつろう
【37】^高座は下座の声の終るのを待って讃嘆して云え。
^敬って道場の大衆たちに申す。 今施主某甲およびもろもろの衆生のために、 十方の諸仏、 竜宮の法蔵、 仏舎利・菩薩大士・縁覚・声聞などに帰命したてまつる。 現に道場にましまして、 *散華することを証明されよ。
^また一切の天曹・地府・*閻魔王、 五道の*冥官、 太山府君・三十六神、 地獄の典領、 天神・地神・虚空神、 山林河海の一切の霊祇および多くの賢聖がたなど、 おのおの天通 (天眼・天耳・神足) ・道眼・他心智・宿命智・漏尽智通ある人に申す。 現にこの道場にましまして、 弟子今日の施主某甲およびもろもろの衆生の心を披いて懴悔することを証明されよ。
^弟子道場の人々など、 内外数多くの人は、 過去より現在・未来の三世を尽して身・口・意の三業をもって行住座臥に、 一切の三宝・師僧・父母・六親眷属・*善知識、 法界の衆生に対してつぶさに一切の悪を造っている。 常に一切の悪を起し、 相続して一切の悪を起し、 また、 いろいろの手段で一切の悪障・業障・報障・煩悩などの障り、 生死の罪障、 仏法僧を見聞できない障などを起している。
^弟子大衆ら、 曠劫よりこのかた、 この身今日に至るまで、 その間にこのような罪を作って、 また楽んで行い、 多く作ったことは無量無辺である。 それらの罪はわれらを地獄に堕して出る時期を無からしめる。
^この故に経 (*観仏三昧経) に次のように説かれている。
^「*阿鼻地獄、 十八の寒氷地獄、 十八の黒闇地獄、 十八の小熱地獄、 十八の刀輪地獄、 十八の剣輪地獄、 十八の火車地獄、 十八の沸屎地獄、 十八の鑊湯地獄、 十八の灰河地獄、 五百億の刀林地獄、 五百億の剣林地獄、 五百億の刺林地獄、 五百億の銅柱地獄、 五百億の鉄鐖地獄、 五百億の鉄網地獄、 十八の鉄窟地獄、 十八の鉄丸地獄、 十八の尖石地獄、 十八の飲銅地獄など、 このような多くの地獄がある。
^仏が仰せられる。 ¬阿鼻地獄は縦横の長さが斉しく八万*由旬である。 七重の鉄城、 七重の鉄網があり、 下は十八の隔が七重にとりかこんで、 みな刀林である。 七重の城内にまた剣林があり、 下に十八の隔が八万四千重ある。 その四方の角に大きな銅狗がおり、 その身は大きくて四十由旬である。 眼はきらめく電のごとく、 牙は剣の林のごとく、 歯は刀の山のごとく、 舌は鉄の刺のごとくである。 身体のあらゆる毛孔から猛火を出し、 その烟は臭悪で、 この世のいかなる臭いものをもってしても譬えることはできない。
^十八の獄率がいて、 その頭は羅刹の頭のごとく、 口は夜叉の口のようである。 六十四の眼を持ち、 眼ごとに鉄丸をほとばしり散らすことは十里の車のようである。 鉤になった牙は頭上に出て高さ四由旬である。 牙の先から火が流れ出て、 前の鉄車を焼き、 鉄車の車輪の一々の輞を一億の火の刀、 鋒刃、 剣や戟に変える。 それらはみなその火から出るのである。 このように流れ出た火は阿鼻の城を焼き、 その城を熔けた銅のように真赤にさせる。 ^獄率の頭の上には八つの牛頭があり、 一々の牛頭には十八の角があって、 一々の角の頭からみな火の聚を出す。 火の聚はまた化して十八の輞となり、 火の輞はまた変じて火の刀輪となる。 それはあたかも車輪のようである。 それらの輪と輪とがあい次いで火炎の中にあり、 阿鼻城に満ちみちている。
^また銅の狗は口を大きく開き、 舌を出して地上にいる。 その舌は鉄刺のようである。 舌が出る時に無量の舌と化して阿鼻城に満ちみちている。
^七重の城内には四本の鉄の幢がある。 幢の頭から火が流れることは煮えたって湧き出る泉のようである。 その鉄が逬り流れて阿鼻城に満ちみちている。 阿鼻城に四つの門があってその門の閫の上に八十の釜があり、 煮えたった銅汁が湧き上り、 門から漫々と流れ出て阿鼻城に満ちみちている。 ^一々の隔の間に八万四千の鉄の蟒や大蛇がいて、 毒を吐き火を吐いて、 その身は城内に満ちている。 その蛇のたけりほえる声は天の震雷のようである。 火の鉄丸を雨ふらして阿鼻城に満ちみちている。 この阿鼻城の苦しさは八万億千で、 苦の中の苦は集まって、 この城にある。
^また五百億の虫がいて、 一々の虫に八万四千の嘴がある。 嘴の先から火が流れ出ることが、 雨のように降りそそいで阿鼻城に満ちみちている。 この虫が下りて来る時には、 阿鼻城の猛火はその炎がますます盛んになり、 赤い光の火炎は遠く八万四千由旬を照らす。 阿鼻地獄の上から、 その上にある大海の沃燋山の下を衝き破ると、 大海の水が渧り落ちて車軸のようである。 それが大きな鉄尖となって阿鼻城に満ちみちている。¼
^仏が仰せられる。 ¬もし衆生があって、 三宝をそこない、 三宝物をぬすみ、 三宝をけがし、 三宝をあざむき、 三宝をそしり、 三宝をこぼち、 父母を殺害し、 父母の物をおびやかしてぬすみ、 父母をけがし、 父母をだまし、 父母をそしり、 父母をこぼち、 六親をののしりはずかしめる。 このような殺逆の罪を作った者は、 ^命終る時に銅の狗が口を開き、 十八の車をあらわす。 そのさまは金の車のようである。 宝の蓋が上にあって、 一切の火炎は化して玉女となる。 罪人は遥かにこれを見て心に歓喜を生じ、 自分はその中へ往きたいと思い、 自分はその中に住みたいと思う。 いよいよ臨終に刀で身をさかれるような思いをし、 急に寒気がして声が出なくなる。 そこで ªむしろ好い火を得て車の上に坐り、 燃える火にみずから身を爆ろうº と思いおわって、 命が尽きる。 たちまちの間にすでに金の車の上に坐り、 玉女をふりかえると、 みな鉄の斧をもってその罪人を斬り、 身の下から火が起って旋る火の輪のようである。
^たとえば壮士が臂を屈伸するほどのわずかな間に、 すぐに阿鼻大地獄の中に落ち、 上の隔から旋る火の輪のように下の隔の際に至るまで、 身は隔の内に偏満する。 銅狗は大いに吼えて、 骨をかじり、 髄をすう。 獄率や羅刹は大いに鉄の叉を捉って、 叉の頚から全体にゆきわたるような火炎を起して阿鼻城に満ちわたす。 また鉄網より刀を雨ふらして、 罪人の毛孔から突き刺す。
^閻魔王の化身は大きな声で告げる、 ª痴かなる人、 地獄種の汝は、 娑婆にいたとき、 父母に孝養を尽さず、 邪見*憍慢で道にはずれた行いをした。 汝が今生れている所を阿鼻地獄と名づける。 汝は恩を知らず慚愧の心もなかったから、 この苦悩を受けるのである。 楽しいと思うかどうかº と。 この言葉をいい終って閻魔王の化身は姿を消して現れない。
^その時に獄卒はまた罪人を駆って、 下の隔から上の隔まで、 八万四千の隔の中を経めぐらせ、 身をつかんで鉄網の際に至らせる。
^一日一夜はこの閻浮提の日月歳数の六十小劫に当たる。 このようにして寿命は一大劫を尽す。
^五逆の罪人は無慚無愧でつぶさに五逆の罪を造るから、 ^臨終の時、 十八の*風刀が鉄火の車のように、 その人を解き截る。 罪人は熱に逼められるから、 このように云う、 ª好い色の華や清涼の大樹を得てその下で遊びたわむれるのは、 また楽しいことではないかº と。 ^こう思ったとき、 阿鼻地獄の八万四千のもろもろの悪剣林は化して宝樹となり、 華や菓が盛んに茂って、 ならんでその前にある。 大熱の火炎は化して蓮華となり、 かの樹の下にある。 罪人はこれを見おわって、 ª自分の願いは今すでにかなえられたº と云うや否や、 ^暴風よりもすみやかに蓮華の上に坐る。 坐り終るとたちまちに鉄の嘴をもった多くの虫が火の華から出て来て、 罪人の骨を穿って髄に入り、 心を徹って脳に穴をあける。 罪人が樹に攀じ上ると、 すべての剣の枝は肉を削って骨につき徹る。 無量の刀林は上るに当たって火車・爐炭を下し、 十八の苦事が一時に来たり迎える。
^この相が現れるとき、 地下に墜落して、 下の隔から上ろうとすると、 その身は華が開いたように下の隔に偏満する。 下の隔から起る火炎は猛く盛んで上の隔まで至りとどく。 上の隔に至り終ると、 罪人の身はその中に満ちる。 その熱悩することが激しいので、 罪人は眼を張り舌を吐く。 この人はみずからの罪のために万億の融けた銅や百千の刀輪が空から降って来て、 頭から入って足までつらぬく。 ^一切の苦しいことは上に説いたよりも超え過ぎていることが百千万倍である。 ^五逆の罪を具している者は、 苦を受けること満五劫の間である」 と。
^われら弟子道場の大衆らは、 無始よりこのかた今日この身に至るまで、 その間において三業をほしいままにして、 これらのような罪を作ってきた。 楽んで行ない多く作って、 その量は計り知られない。 今、 仏が阿鼻地獄のことを説かれるのを聞いて心驚き、 身の毛がいよ立って、 おそれと慚愧の思いで一杯である。
^今道場の凡夫や聖者がたに対して、 自らの罪を口に露わして懴悔する。 願わくは罪が消滅し、 とこしえに尽して残りのないように。 懴悔しおわり、 心から帰依して阿弥陀仏を礼拝したてまつる。
^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^懴悔しおわり、 心から帰依して阿弥陀仏を礼拝したてまつる。
【38】^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^弟子道場の衆らは、 曠劫よりこのかた、 乃至今日この身に至るまで、 その中において、 身・口・意の三業をほしいままにして、 あらゆる罪を造る。
^あるいは*五戒・*八戒・*十戒・*三帰戒・*四不壊信戒・*三聚浄戒・*十重四十八軽戒・声聞戒・大乗戒および一切の*威儀戒、 *四重禁・*八重禁などを破り、 いたずらに信者の施物を食し、 仏法をそしり、 よこしまな見解を持ち、 因果の道理を識らず、 般若の智慧を学ぶことを断ち、 十方の諸仏をそしり、 僧衆の財物をぬすみ、 婬妷にして道をわきまえず、 浄らかに戒律を持っているもろもろの比丘尼や姉妹・親族を犯して慚愧の心がなく、 親しいものをそしり辱めて多くの悪事を造る。
^あるいは楽んで十悪を行じて*十善を修めない障り、 ^楽んで*八苦を行じて八戒を持たない障り、 ^楽んで三毒を行じて三帰戒を受けない障り、 ^楽んで五逆を行じて五戒を持たない障り、 ^楽んで*地獄の極苦を受ける業を行じて浄土の極楽を得る因を修めない障り、 ^楽んで畜生道に堕ちる*愚痴の業を行じて智慧慈悲を修めない障り、 ^楽んで餓鬼道に堕ちる*慳貪嫉妬の業を行じて*布施などの利他行を修めない障り、 ^楽んで*阿修羅道に堕ちる諂曲・虚詐の業を行じて、 まことの言葉でうそいつわりのない業を行じない障り、 ^楽んで人を怒らせ悩まし殺害する毒竜のような業を行じて、 人を喜ばせ、 いつくしむ業を行じない障り、 ^我慢・自大にして下賎や不自在な身を受ける業を楽んで行じ、 みずからへり下り、 上を敬って尊貴の身を受ける業を行じない障り、 ^邪見・破戒・破見・悪見であって善を修しても福徳がなく悪を造っても殃がないという外道や一闡提の業を楽んで行じ、 正見にして迷いの世を出て浄土に往生する浄らかな行を行じない障り、 ^三宝を破滅し他人の善事を壊る悪鬼の業を楽んで行じ、 三宝を護り大切にして、 他人の功徳を成じ具足させることを行じない障り、 ^三界内の人・天に長く繋がれる業を楽んで受け、 浄土の無生のさとりを望まない障り、 ^楽んで*二乗の狭く劣った業を受けて、 菩薩の広大な慈悲を行じない障り、 ^悪友に親しみ近づく業を楽んで行じ、 諸仏・菩薩・善知識に親しみ近づくことを願わない障り、 ^楽んで*六貪・*六弊の業を行じて、 *六波羅蜜・*四摂を行じない障り、 ^因果を識らず道理にさからう業を楽んで行じ、 自身の中に如来の仏性があるのを知らない障り、 ^一切の衆生が酒・肉や五辛などを貪り食うて、 多病短命のもととなる業を楽んで行じ、 慈悲の心をもって仏・法・僧の三宝を聞くことをねがい香華を供養する業を行じない障りなど、
^このような障罪をみずから作り、 他に教えてなさしめ、 他人が行っているのを見て喜び、 もしくはことさらに作り、 たわむれに作り、 瞋り嫌って作り、 あるいは愛したり憎んだりして作るなど、 ^無量無辺である。 これらのことを思い量ってみると、 到底量り尽すことができず、 説いても説き尽すことができない。 ^また、 大地を微塵にくだいた数が無数であり、 虚空が無辺であり、 法界が無辺であり、 法性が無辺であり、 方便が無辺であるように、 わたしおよび衆生の造る罪もまたそのとおり無辺である。 ^このような罪は上はもろもろの菩薩から下は声聞・縁覚に至るまで知ることはできなくて、 ただ仏と仏とのみよくわが罪の多少を知っていられるのである。
【39】^地獄経 (観仏三昧経巻五・意) に云われている。 「もし衆生があって、 このような罪を作る者は、 ^命終る時に臨んで、 刀で身をさかれるような思いをし、 じっと寝ていることができず、 むち打たれるようである。 その心は荒れ乱れて、 狂いたわけた想いをおこす。 自分の家や男女を見ると、 大小はみな不浄の物であって、 屎尿のくさい臭いが外にあふれ流れる。 ^そのとき罪人はこういう、 ¬どうしてここは立派なお城や美しい山林のような、 自分を楽しみ遊ばせてくれるものがなくて、 このような不浄のものの間に自分はいるのであろうか¼ と。 ^このことばを云い終ると獄率や羅刹は、 大鉄叉をもって阿鼻地獄やもろもろの刀林をすべて擎しあげて、 宝樹や清涼の池に変え、 火炎は化して金葉の蓮華となる。 もろもろの鉄の嘴のある虫は化して鳧や雁となり、 地獄の苦痛の声は歌詠の声のようである。 ^罪人はこれを聞いて、 自分はこのような楽しいところで遊びたいと思う。 思い終ったとき火の蓮華の上に坐って、 もろもろの鉄の嘴のある虫は毛孔から罪人の身をすすりくらい、 百千の鉄の輪が頭の頂上から体に入り、 無数の鉄叉はその眼精をえぐりとり、 地獄の銅の狗は百億の鉄の狗を化しあらわして競って罪人の身を割き心をとって食らう。
^たちまちの間に身は鉄の華のようになって十八の隔の中に一杯になる。 一々の華葉は八万四千あって、 一々の葉の頭が身手の支節である。 一つの隔の間にあって地獄が大きすぎることもなく罪人の身が小さすぎることもなく、 このような大地獄の中に一杯に満ちるのである。 これらの罪人はこの地獄に堕ちて八万四千大劫を経る。 ^この地獄が滅すると、 また東方の十八隔の中で前と同じように苦を受ける。 この阿鼻地獄の南にもまた十八隔、 西にもまた十八隔、 北にもまた十八隔がある。
^大乗の経を謗り、 五逆罪を具し、 僧衆の和合を破壊し、 比丘尼を汚し、 もろもろの善根を断ずるなど、 このような多くの悪を作った者は、 その身は阿鼻地獄に満ち、 四支 (手足) はまた十八隔の中に満ちるのである。 この阿鼻地獄はただこのような地獄種である罪人を焼くのである。 ^劫が尽きようとするとき、 地獄の東門が開き、 東門の外を見ると、 清い泉や水の流れ、 華菓・林樹などがみな共に現れる。 この罪人たちが下の隔から見ると、 その眼に火を見ることがしばらくやむ。 そこで下の隔より起ってからだをくねらし腹ばいして身を持ち上げ、 上に向かって走って上の隔の中に到ろうと、 手で刀輪を攀じのぼろうとする。 その時、 虚空から熱鉄丸が雨と降ってくる。 罪人は走って東門に赴き、 門の閫のところに至ると、 獄率や羅刹が、 手に鉄叉をつかんで逆さまにその眼を刺し、 鉄の狗は心をかじる。 そこで悶絶して死に、 死におわるとまた活きかえる。 ^地獄の南門を見ると開かれていて、 前と異なるところがなく、 西門・北門もまたみなこのとおりである。 このようにしている間に半劫を経るのである。
^阿鼻地獄で死んで、 次には寒氷地獄に生れ、 寒氷地獄で死んで黒闇処に生れる。 ここでは八千万年のあいだ目に何も見えない。 大蛇の身を受けて、 体をくねらせて腹ばいし、 もろもろの意識は暗く塞がって知るところがない。 百千の狐狼が、 ひきつけてこれを食らう。 命が終ったのち畜生道の中に生れて、 五千万身のあいだ鳥獣の形を受け、 また人間の中に生れてきても聾・盲・瘖瘂・疥癩 (癩病)・癰疽 (悪性のできもの) の身となり、 貧乏で賎しく、 あらゆるあわれなすがたをもって身の飾りとする。 この賎しい身を受けて、 五百身を経て後に、 また餓鬼道の中に生れる。 ^このようにして三悪道をめぐることは無量無辺である。¼ と。」
^弟子大衆らは、 今地獄のことを聞いて心驚き、 身の毛いよだって、 怖れおののくことが無量である。 残りの殃が尽きないで、 また流転するであろうことを恐れる。 この世に生れてからこのかた、 三業の悪をほしいままにして、 多くの重罪を造った。 もし懴悔しなかったなら、 必ずこれらの苦しみを招いて出る時がないであろう。
【40】^今、 仏・法・僧の三宝に対し道場の大衆の前において、 口にあらわして懴悔する。 そうすれば安楽になるであろう。 罪を知ってあえて覆いかくすことはしない。
【41】^ただ願わくは十方の三宝は、 法界の衆生に、 広大な慈悲をおこされて、 わたしの悪が草の地を覆うように多いのをとがめられず、 歓喜を施してわたしの懴悔を受け、 わたしの清浄なることを念ぜられよ。
^ただ願わくは慈悲をもって、 われらを摂め護り、 すでに作った罪は除いてくださり、 まだ起さない罪は願わくは生ぜないように、 またすでに作った善根はそだててくださり、 まだ作らない善根は方便をもって生ずるようにしてくだされよ。
^願わくは、 今日より無生法忍を得るに至るまでは、 誓って衆生と共に、 邪を捨て正に帰し、 菩提心を発し、 慈悲の心をもってあい向かい、 やさしい眼であい看よう。 菩提の眷属、 真の善知識となって、 共に同じく浄土に生れ、 遂に成仏しよう。 このような罪をとこしえに相続することを断ち、 さらにあえて覆いかくすことのないようにしよう。
^発願しおわって、 心から阿弥陀仏に帰命したてまつる。
【42】^下座は高座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
願わくは弥陀仏の前に在って立ち
手に香華を執って常に供養したてまつろう
^高座は下座に接いで讃嘆して云え。
^願わくは往生せんことを、 願わくは往生せんことを。
願わくは阿弥陀仏の説法の会座の中に在って坐り
手に香華を執って常に供養したてまつろう
西方浄土の法事の讃 巻上